AIだけで小説を作れるようになった時、人間はどう対抗するか


 AIで書いた小説が星新一賞の1次選考を通過したことから、これからどういった小説家であるべきなのか考えてみました。

AIが星新一賞の1次選考を通った


きまぐれ人工知能プロジェクト作家ですのよ

 2016年03月21日、人工知能が第4回 日経「星新一賞」の1次選考を通過しました。作品は上記リンク先の項目「成果」から閲覧できます。

 AIというと全自動で書かれた作品と思いがちですが、手動8割・自動2割という配分のようです。AIがどういった作業をしたのかも不明。しかし、一次選考を通過したということは、AIが全1510作品あるアマチュア小説の内、かなりの上位に入ったということになります。

「AIに仕事を奪われ、失業率が高くなる」という話は各所でされていますが、どうやら「芸術の世界は大丈夫」というわけにはいかないようです。大なり小なり、創作のあり方自体が変わってしまうでしょう。

 そういった時代はいつくるのでしょうか。IT業界は「ドッグイヤー(犬と同じくらい早く成長する)」と呼ばれています。明日は……流石に大丈夫だと思いますが、1年後は誰も予測できません。我々物書きは、今のうちにAIに対して、どう対抗・共存していくか考えてみる必要があります。

小説創作におけるAIの使い方


 松原教授は「将来的には、個々人の嗜好(しこう)に応じて100万人に100万通りの小説を届けるようなこともできるかもしれない。人工知能が天才的な名作を書けるかどうかは怪しいが、『普通に面白い』作品を量産するのには向いている」とみる。

(2016年1月5日 人工知能はアートの夢を見るか? 人間に残された聖域は:朝日新聞デジタル より引用)

 ドラえもんのひみつ道具に「まんが製造箱」というものがあります。「雑誌作りセット」の内ひとつの道具で、機械に漫画を読ませるだけで作風を完全コピーできるという代物です。まるでコピー元の作家が新作を書いたようなクオリティを提供でき、原稿料はタダ。

 誰でも自分好みの作品を作れる。まさにドラえもんの世界がそのままやってくるというのが、AI研究者の意見ということになります。例えば近未来、以下のような手順で小説創作をすることになるかもしれません。


  1. AIソフトを起動
  2. アイデアとなる単語を記入
  3. 大まかなプロットを読み込ませる
  4. 物語のテンプレートを選ぶ
  5. 作成された小説を推敲する
  6. ☆小説☆完成☆


 このような作り方になると、既存の基礎知識――文法・文章作法――といったものを覚える必要性が薄くなります。人間のやることはアイデア編集……つまり独創性に富んだ人が有利になる時代が来るのですね。そうじゃない人でも、創作が簡単になるのは確かでしょう。

 しかし、AIが発達しすぎると逆に作家たちが淘汰される恐れもあります。

しかし、いずれ独創性をもったAIが登場する




 すでに「ディープラーニング(深層学習)」という手法によって、人間っぽいAIの開発が進められています。

 加えて、ビッグデータ収集も出来る。人間で想像してみましょう。「世界中の本を読んだし、何がウケるのか分かるし、独創性の定義についても理解しているよ」という作家が簡単に生まれてしまうわけです。上の方で説明した「まんが製造箱」よりも高性能……まさに「事実は小説より奇なり」状態になってしまいます。

 そうなってしまっては「共存」なんて甘っちょろいことは言えません。ある意味ターミネーターの世界となってしまいます。人間がAIに勝つには、AIにないものを利用する他ありません。

 完全AIの小説がどういうものか想像できませんが、どんなに綺麗で面白い物語を書けたとしても、自分は感動しないでしょう。それにはふたつの理由があります。


  1. 市場データでは、人間の表面上の行動しか理解できないから。
  2. 人間が書いて、はじめて説得力が生まれるものがある。


 1番目の話は有名なマーケティング論。Googleで「顧客 本当に欲しいもの」と検索すれば、スティーブ・ジョブズやヘンリー・フォードの名言が出てきます。自分は経済学には明るくないので、興味のある方は調べてください。「サイレントマジョリティ」という概念も参考になるでしょう。

 大事なのは2番目です。「他人の人生を疑似体験する」という効果のある小説では、作家がどういう人生経験を積んだのかが非常に重要となってきます。

「俺はこういう経験をして、こう考えたから、こういう結論を出した」

 それは、AIでは絶対に作り出せないものですよね。だって、自分は自分であって、AIはAIなのだから。いくら偉人たちのデータを集めようが、そこに自分がいなければ良いんです。

 そうなると、小説の行き着く先は私小説かもしれないですね。

自分たちは40~50年もちこたえれば良い


 もしかしたら、この記事で書いたことは全部的外れになってしまうかもしれません。これから先、どうなるのか分からないのですから。AIが想像以上に進歩して、人間の完全上位互換になっても、特におかしくはないですしね。

 しかし、自分が死んだ後に起きる問題について対策を立てても仕方ないですよね。100年先の問題なんか、今の赤ちゃんたちでも関係のない話ですから。AIの進歩は凄まじいですが、10年先を見越して活動していれば十分でしょう。社会に出て40~50年ほどもちこたえたら、後は若者の課題です。

「AIに脅かされながら生きるのか……」と悲観的な思考が渦巻くところですが、プロ棋士の羽生善治先生のように考えれば、そう暗い話でもありません。
 将棋がコンピュータによって完全解明されてしまったら、どうするんですか。という質問に、羽生はケラケラ笑いながらこう答えた。

「そのときは桂馬が横に飛ぶとかルールを少しだけ変えればいいんです」

 その瞬間に将棋は新しい命を与えられ、なにもかもが一からやり直しになる。天才の視野にはそんなことさえ映っているのである。

※週刊ポスト2014年5月2日号

(2014年04月24日 コンピュータが将棋を完全解明したら? 羽生善治三冠の回答 | マイナビニュース より引用)

 社会のルールを決めるのは、あくまで人間。小説がAIに壊されてしまったら、また新たな表現を作ればいいんです。


この記事を書いた人

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