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 フリーランスになる方法……というか、続け方や日課について説明しています。

社畜サラリーマン時代の終焉


 これからの時代は、1人ひとりが仕事を作り、1人で仕事をすることになるでしょう。

 言い換えると「趣味を仕事にする」が当たり前になるのです。

 2025年には4Gの後継である「5G」という通信規格が登場します。これによって技術革新が起こり、AIの普及率が跳ね上がることでしょう。多くの仕事が人工知能に奪われ、失業者が増え、企業の寿命はますます短くなると予想できます。

 政策としてベーシックインカムが実現すれば失業しても問題ないのですが、現段階では実験データも少なく、どのような結果になるのかは不透明すぎます。なので今のうちに、個人個人ができる限りの準備をしなければなりません。

 ……なにやら専門用語が多くなってしまったので、簡単に書きます。

めっちゃ語彙力落として説明するよ!
 機械めっちゃ強くなる!

 お仕事がなくなる!

 ニートが増えるし、企業も潰れちゃうかも!?

 だから、今のうちに自分一人で食っていける能力を身につけようぜ!


 ということで、今回はフリーランスに必要な能力について紹介します。

自分でモチベコントロールすること


 普通にサラリーマンとして働く場合は、モチベーションについてあまり考えなくても良いです。組織に所属している以上、働かなければ罰則が与えられますし、黙っていても仕事をもらえるからです。しかし、フリーランスとなると叱る上司はいないし、自分で動かなければお金は稼げません。

 業種によっては、下手したら一日中引きこもってるなんてこともあります。日頃から体調管理をするのは当然として、適度にストレス発散しつつ課題と向き合う必要があります。あとは、常に成長を感じるために、勉強し続けることも大事ですね。フリーランスは「好きな時に好きなだけ働ける職業」ではなく、「日々の努力の積み重ねをする職業」です。



毎日勉強すること


 今や誰もがインターネットに接続している現代……ネットなしでは仕事ができない時代となりました。常に世界を引っ張り続けているIT業界では、3年おきにパラダイムシフト(時代の変化)が起こります。ちょっと前ならスマートフォンを持つ人は少なかったですし、今では一般市民が仮想通貨を所持しています。ちなみに数年後には、スマートグラスや自動運転が普及されると予想されているようです。

 新しいものが世に出回ると、社会の構造は一気に変わります。それまで通用していた技術がガラクタになることがありますし、逆に今まででは考えられなかった働き方もできます。だからできることを増やすために様々な学問や芸能に触れることは大事ですし、最新のニュースを追い続ける必要があるのです。

コミュ力を上げること


 フリーランス……「個人事業主」「自営業」とも言います。つまり自分一人で事業・営業をしていかないと、成立しない仕事なのです。世の中には「1人でブログ運営して、月収100万円以上稼いでるよ?」という人もいますが、真似しようと思ってできるものではありません。

 友達がいればいるほど、仕事の幅は広がっていきます。自分にあった案件を紹介してもらえることもありますし、友達と共同で会社を立ち上げることもあります。信用できる人が近くにいれば、メンタルが弱りにくくなりますしね。だから色んな人と出会うことは大事ですし、自分がどんな人間がよく知ってもらう術を持ったほうが良いでしょう。


 主に自宅で読書・勉強・デスクワークする時に役立つオススメ商品・文房具を紹介しています。

多少の出費で、デスクワークの集中力を上げられる


 読書や勉強は、脳に負荷がかかる知的遊戯です。

 数十分から数時間も集中しなくてはいけないので疲れますし、気が散ってしまうこともあります。できるだけ面倒事を排除して、集中できる環境を作りたいですよね。

 今回は僕が実際に使ってみて「これは読書に便利だ!」と思った商品を紹介いたします。

"ブックホルダー"で疲れにくい読書ライフを


 ずっと本を読んでいて、肩や腰が痛くなった経験はございませんか?

 Maloblaのブックホルダーは、仰向けに寝っ転がりながら、読書ができるようにしてくれるアイテムです。


 上の画像のように、本をブックホルダーに固定してお腹に乗せれば、全身に負荷がかかることなく読書を楽しめます。

 腕が疲れることはありませんし、枕を調整すれば首も痛くなりません。何時間でも本を読み続けることができるので、休日に自宅でゴロゴロする時に最適です。リラックスした状態で勉学に励むことができるので、集中力も持続しやすいです。

 棒部分は伸縮可能です。文庫本、ハードカバー、辞書など……幅広く対応できます。

"防音イヤーマフ"で騒音とはおさらば


 近隣の物音、選挙カー、訪問セールス、スマホの通知……。たとえ閑静な住宅街に住んでいたとしても、読書の邪魔になる音はたくさんあります。

「一度途切れた集中力を取り戻すのに、平均で15分程度かかる」という研究結果があります。本を読む時はできるだけ外部から刺激を受けたくないものですね。

 そこで頼りになるのが、防音イヤーマフです。耳栓をつけてイヤーマフを被れば、周囲の音はほとんど聞こえなくなります。

 Fnovaの遮音値 34dBのイヤーマフを使ったところ、手に持ったiPhoneを音量最大にしても「耳をすませば少し聞こえるかな?」というレベルにまで音を遮断できました。

 イヤーマフは読書だけではなく、勉強やデスクワークも快適にしてくれます。図書館やカフェでも騒がしい時代ですので、様々な場面で役立ってくれるでしょう。

"ブックダーツ"で気になった箇所をマークしよう


 本を読んでいて、こう思ったことはありませんか?

「このページは大事だ」
「ここは後で読み返したい」

 そのような場合はページの端を折るか、付箋をつけるのが一般的です。しかし、本は傷つけたくない人もいるでしょう。付箋も強度が心配になります。

 そこで第3の選択肢に入るのが、ブックダーツです。ページを傷つける心配はなく、金属製なので強度は十分で、繰り返し使うことができます。デザインも格好良いので読書のモチベーションが上がるでしょう。


 難点は、本によっては文章を隠してしまうこと。文庫本なら縦に差し込むことでぎりぎり邪魔になりません。


 ハードカバーなら縦でも横でも大丈夫です。


 たくさん挿入すると、本が少し膨らみます。薄さに関しては付箋に軍配が上がりますね。

 ブックマークとしてはやや高めなのも、気になるところですね。大事な本を読む時に使いましょう。

"クリップボード"で書ける場所を増やそう


「立ったまま、もしくは膝の上でメモを取りたい」
「布団で寝っ転がりながら文章を書きたい」
「カフェやレストランで勉強したいけど、紙にテーブルの汚れがつきそうで嫌だ」

 そんな時にクリップボードを使う方は多いかと思います。

 100円ショップでは「紙を止めるだけ」のものが置いてありますが、実はクリップボードも多機能化が進んでいます。Homehaloのものは手帳型で、たくさんのA4用紙を持ち歩け、小物入れも充実しています。

 僕はA4の紙を何十枚かと、栞を入れて持ち歩いています。外出先で資料やコピー用紙を収納するのにも役立ちます。書いた紙を、大口のポケットに移動できるのが一番気に入っています。

 クリップボードとしては重めなのが難点ですが、布団の中で勉強する僕としてはお勧めの一品です。

"ミニクリーナー"で憎き消しカスを掃除


 僕は勉強やメモをしている時、消しゴムを使うのが大嫌いです。

 なぜなら、消しカスが出るから。図書館やカフェだと気にしませんが、自宅の床に消しゴムを落とすのが嫌なんですよね。かといって、消しカスを捨てるために立ち上がってゴミ箱に向かうのもストレスがかかります。

 そこで出会ったのが、ミドリのミニクリーナー。ミニカーのような形をしており、手で紙上を走らせることで内部のホウキが回転し、チリトリ部分にゴミが掃かれます。

 ミニクリーナーを使えばゴミ箱に向かう頻度が劇的に減るので、勉強に集中できるようになりました。

 正直なところ魅力を感じない人のほうが多そうですが、僕と同じように消しカスが大嫌いな人なら、買っておいて損はありません。


 web小説における感想・レビュー活動の利点と、今後の展望を書いています。

全員が書き手とレビュアーを掛け持ちする時代が来る


 最近、他人のweb小説に感想を寄せる「レビュアー」が人気になってきています。

「素人の小説を読んで、わざわざ感想を書くなんて暇人なんだな」

 そう思う方がいらっしゃるかもしれませんが、それは大間違いです!

 レビューをすれば書き手は喜びます。
 今後レビュアーが増え続ければ業界活性化にも繋がります。

 しかし、それよりも大事なことがあるんです。

 レビュー活動は自分のためになる!

 レビュアーが流行ってきているとはいえ、まだまだ頭数が少ない現状です。もっと増えてくれると良い世の中になるとは思いますが、1年以上レビュー活動をした自分から言わせれば「得することばっかなのに、なんでみんなやらないの?」といった気持ちです。

 というわけで、今回はレビュアーになることのメリットを紹介します。

友だちが増える


「与えよ、さらば与えられん」

 という言葉があります。これは聖書の一節ですが、実際に心理学では「たとえ嫌いな人が相手でも、何かを貰ったらお返しをしたくなる」という研究結果が出ています。ギブアンドテイクは、とても強力な法則なのですね。

 誰からも感想を貰えない、そもそも読まれない……もし貴方が一人ぼっちで悩んでいるのなら、まずは誰かが書いた小説を読んで、感想を書きましょう。最初は思うようにお返しが貰えないかもしれませんが、続けることで友達が増えて、影響力が高まります。

小説に対する理解が深まる


「小説をレビューする」ということは、創作に対する良し悪しを語ることになります。今までは「好き」「尊い」としか言えなかったものに対して「~だから良い」と言えるようになれば、考察力が上がって自分なりの方法論を作れますし、自分が小説を書く時に大きな武器となるでしょう。

 他人の作品を読んだり感想をつける時は、興味のないジャンルほど効果的です。まったく知らない分野では珍しい技術が使われていたりしますし、とても面白いです。慣れない文章を読むと、脳に刺激が与えられるので知性も磨かれます。

相互評価や自動RTに頼る貴方の未来は暗い


 ここでひとつ、僕が創作したAさんの話をしましょう。

 Aさんは小説投稿サイトから書籍化を目指していました。書籍化するにはサイト内のランキング上位に掲載される必要があったため、SNSや掲示板で相互評価をして、ポイントを集めていました。

 Twitterでは自動ツイート・自動フォローのbotを作って無差別に他人の小説をリツイートします。フォロワー数は5000にも上りましたが、ほとんどがbotでした。でも数字は立派だし、他人との交流に興味がなかったので、特に気にしていませんでした。

 時間をかけた結果、ようやくランキングに載ることができました。「これで自分の作品は人気間違いなしだ!」……Aさんはそう思っていましたが、書籍化の話は来ないどころか、大した反響もなくすぐにランキングから外れてしまいました。

 それもそのはず。Aさんの作品は通報されていて、サイトの運営から削除されてしまったのです。今までの苦労が水の泡となってしまったAさんはやる気を失い、小説を書くのが嫌になってしまいました。


 Aさんはその後、web小説界隈でレビュー企画が流行っていることを耳にしました。書き手同士が互いの作品を読み合ったり、感想をつけているレビュアーたちがとても楽しそうに見えます。Aさんは、あることに気づきました。

「レビュー活動してる人たちは、フォロワーが多い!」

 しかも、Aさんのフォロワーと違ってbot化してるアカウントは少なく、色んな人と毎日のようにリプライを送り合っています。レビュアーさんが小説やブログ記事を書いてツイートすると、たくさんの「生きた人たち」がリツイートしてくれます。

「こ、これが本当の宣伝……本当のセルフプロデュースなんだ……!」

 そう気づいたAさんは、色んな人の作品を読んで感想をつけるようになりました。書き手たちの小説企画にも参加して、順調に「生きた人たち」と知り合いました。AさんはTwitterが楽しくなり、毎日のようにフォロワーさんと交流していきます。

 書籍化への道は遠いままでしたが、不思議とやる気はなくなりませんでした。それどころか小説を書きたい意欲がどんどん増していきます。仲間と小説で遊びたかったのもありますが、レビュー活動で思いついた自分なりの小説理論を試したくなったのです。

 Aさんはめきめきと腕を上げて、ファンの数も増えていきます。今度はズルをしなくてもランキングに掲載されるようになり、さらにフォロワー数は加速していきました。そんなある日、Aさんの元にひとつのメールが届きます。

「○○社の編集部です。貴方の書いた小説を書籍化させてください」


 貴方の作品が面白くない理由は、文章力・ストーリーテリング・方向性の問題だよ、というお話です。

なぜ貴方の小説は人気が出ないのか


「頑張って書いた小説が全然読まれない……」
「自分では面白いと思うのに、おかしい……」
「所詮みんな流行のテンプレにしか興味がないんだ!」

 こんなことをつぶやく方を、たまに見かけます。

 創作についてよく知らない人ほど、こういう思考に陥ります。たしかに、今のweb小説界隈では面白いのに不人気な作品はごろごろと転がっています。環境のせいにしたい気持ちも頷けるというものです。

 しかし、それは本当に読者のせいなのでしょうか?
 貴方自身の技術に、問題があるのではないのでしょうか?

 まずはそのことを確認する必要があります。書き手なら「自分の創った作品は素晴らしいんだ!」と思い込みたいところですが、そんなふうに考えても改善点が見つからず、先が見えません。「もしかして自分の書いたものはクソなんじゃないのか……?」と疑うことも大切です。

 ということで今回は、つまらない小説の特徴についてまとめてみました。

文章の問題


 描写、表現での問題点を解説しています。

説明不足


 これが一番、物書きとして致命的な失敗だと思います。主に書き手の思考が飛躍しすぎている時に起こるもので、結果・結論は書かれているけど過程が省略されている傾向があります。書き手自身は内容を詳細に把握してしまっているばかりに、読者も分かっている錯覚したり、こんなこと書かなくても良いだろうと判断していることが多いです。

 小説やブログ記事のような散文は具体性が重要です。バカでも理解できるように書かなくてはいけません。特にシリーズ物のweb小説だと、読者によって読み始めたポイントが変わるため、重要な設定は何度も説明したほうが良いです。時間を置いて推敲すれば、大抵の場合はおかしい部分に気づくかと思います。

読者の想像できないものを書こうとする


 元々映画やマンガ好きで、小説を書き始めた人にありがちなパターン。SFやバトル物に多い傾向があります。この世にはまったく存在しない造形のものを、頑張って文章で説明しようとしているのですが……残念ながら読者は見たことがないので想像できません。人間は理解できない文章が続くと読む気を無くしてしまうので、ブラウザバックされます。

 小説においては、造形や動きはできるだけシンプルにしたほうが書きやすいですし、読者の負担も減ります。どうしても書きたい場合は挿絵をつけるべきですが、イラストレーターに頼むと少なからずともお金がかかりますし、投稿サイトによってはイラストを掲載できなかったりします。あとは、もうマンガでやったほうが良いですね。

ストーリーテリングの問題


 物語、プロット、キャラ作りでの問題点を解説しています。

主義・主張がない


 これは「つまらない」と言うより、「記憶に残らない」と言ったほうが的確かもしれません。現代ともなると物語のパターンは出尽くされており、どんな話を書いても既視感が出てしまいます。「今まで誰もチャレンジしなかったことを実践するぞ!」と意気込む人ほど「それ、昔の偉人がやったよ……」となってしまうので目も当てられません。

 技術や発想で売れたら作家冥利に尽きるものですし、否定はしませんが……その道は険しいものです。能力を持たない作家が記憶に残る作品を創るには、主義・主張がないと話になりません。つまり自分の――あるいは他人の――体験・好き嫌いを全面に押し出せば、誰かしらに刺さるものを書けるのです。一番簡単なのは私小説の要素を入れることですね。

シチュエーション作りが雑


 萌えを書こうとした時にありがちなパターン。ツインテールだの巨乳だの見た目の説明は十分にあるのですが、そういった記号は小説だとあまり重要ではありません。ツンデレや妹キャラといった属性を書く場合も同様です。読み慣れた人なら記号や属性だけで萌えるのですが、ビギナーにとっては「だから何?」としか思えないのです。

 例えば「なんの取り柄もない普通の男に、ヒロインが惚れました」と言っても、読者は「なんで?」と気になってしまいます。そのシチュエーションに至るまでの理由付けは、最低限でいいので提示しておきましょう。最悪「イケメンではないけど、なんかヒロインの好みだったから」でも良いです。後は「さぁどうして主人公はモテだしたのでしょうか?」と、ミステリー仕立てにするのもアリですね。

思考法の問題


 メンタル、マーケティング、プロデュースでの問題点を解説しています。

市場調査を異常に気にする

今流行りの小説に感化された書き手にありがちなパターン。あらゆる人気要素を忠実になぞっているのですが、出来上がるのは商業作品の下位互換。二匹目のドジョウが売れることはありますが、それはお金と時間をかけた場合のみに起こります。知識も技術もない素人が、テキトーに真似するだけでは完全劣化にしかなりません。

 市場調査はもちろん大事なのですが、個性がないと売れません。まずは小説投稿サイトの人気作品を読み漁って、次にトレンドを追いかけて「売れるパターン」を研究しましょう。次に「こうしたら売れるんじゃないか?」と仮説を立てて、執筆すれば良いです。大変ですが、市場調査を主体にするのなら、これくらいの努力は必要です。

恥を晒すのを嫌がっている


 思春期の方々に多いかもしれないパターン。思考、習慣、性癖……人は誰しも独特の――あるいは歪んだ――個性を持っています。それは作品のオリジナリティとなるのですが、表現の仕方を間違えると黒歴史になってしまいます。黒歴史になることを恐れて個性を排除して結果、凡庸になってしまった作品は多々ありますね。

 まず前提として、黒歴史を恐れてはいけません。これは僕の経験ですが、何もかも全て捨ててはっちゃけると、意外と人気が出たりします(現代でもエログロナンセンスが好きな人は多いんですよね)。田山花袋先生の『蒲団』も当時は「キモッ……」と言われていたそうですが、現代だとそうでもないですし、大学の講義で扱われるほどの名作になっています。



小説創作が上手くなるコツ


 結構長くなってしまったので、頭がこんがらがっちゃった人は、以下の2点を覚えましょう。


  • オリジナリティを作れ
  • 読者目線で推敲しろ


 自分の何が悪かったか理解できたら、次は作品の手直しだ!

 ……と言いたいところですが、リライトというのはかなり大変な作業です。手間暇がかかる分、得られる経験値も多いかと思いますが、まずは楽にスキルを磨くために、新しい作品を書くことをお勧めします。


 短編レビュー企画(ナロラボ杯)の座談会です。参加作品のweb小説を褒めたり、解説したり、詳しく批評したりしています。

短編小説レビュー企画の裏側


 ナロラボの調査結果×キカプロ合同企画「第四回 評価シート付き小説レビュー企画」を終えて、参加作品についての座談会をしました。その時の会話を作品別に掲載しています。

 会話内容はブログ記事として読みやすいように編集してあります。

今回の審査員はこちら。

クロスグリ
 ライトノベルを愛する書き手兼レビュアー。他人の文章にはうるさく、一癖ある作品が好み。短編作品においては無駄の少なさとオチを重視いたします。好きな短編小説は、時雨沢恵一「キノの旅」  web小説やライター活動の専門サイトを運営中。主にハウツー記事を掲載しています。依頼制の作品レビューもしているので、気になった方は下記のリンクからご連絡ください。


 美風慶伍
 怒涛の60本レビュー連続投稿でレビュワーデビューした怪人。SFアクションの特攻装警グラウザーシリーズを中心にかなり昔からなろうに生息している。その上インターネット成立以前から小説同人界に居たと言う化石のような人。そのためか一部から『老師』と呼ばれる。
 レビュー方針はその作品の面白さの核を徹底的に持ち上げると言うもの。その為、面白さの核心をさぐるため徹底的に読み込む。ただしダメ出しは非常に辛口で容赦ない。


Victor
「小説家になろう」にて累計レビュー数2位。また同サイト内で自身の作品を連載中。
 日本の反対側住地。毎日猛暑ばかりで、今日も暑いと漏らす。いつの間にレヴュー数がすごいことになっていたけれども、そんなことを気にすることなく面白い作品があれば勝手に紹介していくスタイル


応募作品を全て読み終えて



 全員の評価・コメントの記入が終わりました。皆さんお疲れ様でした。

 ワシの採点、甘かったかなぁ……(ーー;)

 いやたぶん、読み終えた時間の差だと思いますよ。僕は2人よりも遅かったので「自分はバランスとって、もっと厳し目に読もう」と思っていたので。今回はハイレベルだったので、たぶん僕が進行早かったら、同じような点数になったかと。

 そういっていただけるとホッとします。何分こう言う20作品を同時に採点するのは、大量レビューとは勝手が違ってましたんで戸惑いました。

  今回のク・リーグは本当にいろいろな作品に出会えました。私自身も大変勉強になりました。総合的に見てクロスグリさんはどう感じました?

 正直なところ、この作品たちに点数つけるのは厳しかったですね。優劣をつけられるような違いはあまりなかったかと。ただ、どうしても優劣をつけないといけないので、心を鬼にしなくちゃいけなかったという。コメントを辛くしすぎたり、点数を控えめにしすぎたり、心残りな部分は結構あります。

  そのために、結果的に僕がプレーオフ進出作品を操作したっぽくなっているんですよね……。そりゃ個人的には、カナリア、ウナギ、ブリキ、人妻は頭一つ抜けていると感じましたが、おふた方的にはどうだったのかなと。ちょっとそこが心配ですね。

 点数差を付けないと、選考になりませんからねぇ。私も最後はもう減点要素を小姑の嫁いびりレベルで探しまくりました(笑)

 私は結果的には納得しています。特にカナリアは決して悪い作品では無かったですから。特に、今回はいい作品は本当に皆レベルが高くて、差をどうやってつけるか、それにひたすら悩みました。満点をだしまくるわけにも行きませんでしたし。

  最終選考推しをしたのはウナギ、ブリキ、人妻と祭りの夜だったのですが、カナリアとは僅差だったので、この結果に疑問も不満もないです。むしろ、選考において重要な部分をクロスグリさんにおしつけてしまったかなぁと反省しています。もう少し、細かいところまで読みこなせる力を養いたいです。

 これはレビュアーの宿命ですが、明らかに自分より上手い作品の粗を探すのって、すごい嫌な気分になりますもんね。「俺なんでケチつけてんだろ?」みたいな。今回の作品はほとんど僕より上手かったですし。

 あぁ! すごい分かる! ほんとそう思います! 自分、歳が50近いんで若い人にケチをつける嫌な爺さんと化してました(笑)  せめて、作者さんにこれから作品を新たに書く時にどう言う風に改善していけばいいか? をアドバイスとして伝えることを一番に心がけてました。

 しかし、こう上手い作品をいくつも読んでいると、こちらとしても執筆のモチベーションが上がってきますよね。参加者に回ったらどういう気分になるのか気になりますし。こちらとしても、書き手として負けたくないものですから。

 そうですよね。やっぱり自分が書いてみたいです。次回は参加者枠でチャレンジしたいですね。あとは自分で短編コンペを開催してみたいです。

  400字詰め原稿用紙11枚限定、4400字までの短編コンペを考えてます。この字数で昔短編合同誌を作ったことが有るので、今の人たちならどんな作品が出てくるだろう?と思います。

カナリアの空




 まず僕としては「カナリアの空」は非常に押していて、確かにプレーオフ進出作品はどれも頭一つ抜けていたんですが、アレだけは別格だと思ったんですよね。

  ナロラボ杯の評価項目と相性がいいというのもありますが、1万字程度であれだけの世界観と、キャラ描写を詰め込んで、シナリオを綺麗に終わらせたのがもう化物すぎて。  キャラの印象をくるりと変えるのも上手でしたし、伏線も説得力をもたせていましたね。

 そうですね。特に後半以降の展開と流れが圧倒的で、なによりドラマ展開に『説得力』がすごかった。キャラの動きも心理の変化も無理がない。本当に死角のない作品でした。相当に経験を積んでらっしゃるとしか思えない書き手さんだと思いましたね。

  唯一、キャラが人種として人間なのか獣人なのか、それ以外なのかが冒頭の流れではよくわからないのが気になりましたね。それがあって少し点を引いたんです。それ以外は満点レベルでしたね。

 犬か人か確かに悩みましたね。途中から人であることに気づくと面白みが出てきて、惹かれました。少女と犬、というイメージで進んでいたせいでちょっと惜しいと気持ちがしますね。

 そうなんですよね。序盤がとにかく惜しくて。自分も最初はまんま小鳥と犬で脳内再生してました  自分はそこで評価点数迷ってて。読みやすさを3.5か4にしようと思っていたのですが、他の文章についてはそんな問題はなかったので4にしました。あれほどの作者なら序盤のわかりにくさにも気づくと思うのですが、なんでああなったんでしょうかね。

 多分、書き手として自分がわかってる事と、読み手にむけて説明しないと行けない部分が、ごっちゃになって書き手視点のままで書き終えて校正の段階でも気づかなかったんでしょうね。

 単純に時間がなかったからというのもありそうです。掲載日を見ると2017年 10月28日で、明らかにこの企画のために投稿したんだと思います。あそこまで世界を作ってたら、たしかに文章化する時に、どこかでエラー出しそうですけどね。

 書き終えて未構成でそのまま……だったのかもしれませんね。その辺を慎重に処理すれば満点Sランクもあったかもしれないですね。

 あれ推敲なしだったらガチの天才というか、おそらく奇人変人の類ですね笑

 神がかりなかたですよね。まさに。

 ただ、あれはあまり細かに説明してしまうとオチの感動の中心をになってる部分まで冒頭でネタバレしかねない、非常に難しい伏線とプロット構造だったのでその辺のバランスに苦労してたのかもしれません。

 3回も参加してたそうですし、それで4回までの短い間であそこまで練り上げるっていう。同じ書き手としても想像できないです。

 直感と考察と感性と理論がパーフェクトな作品でした。このまま決勝リーグでも頑張って欲しいです。

作品名




 ただ他の作品も良くて、特にプレーオフ進出作品は頭一つ抜けていましたよね。ウナギも本来ならトップ通過は余裕のレベルでしたし。

 ウナギのほうはいろいろと考えさせられましたね。日系人ですがこんな考えできる人すごいな、思い、同時によくも短編にこんだけ詰め込んで15000字以内に収めることができるとは。

 ワタシ的にはウナギが一番推しだったんです。エンタメとして完成度が高く、目立ったミスも見受けられなかったので。

 ウナギ美味そうと思わせ、日常から豆知識にビジネスにてんこ盛りですよね。

 思考実験物にありがちな「説明が複雑になって、読者を置いてきぼりにする」問題をクリアしていましたしね。必然的に説明が多くなって、それが小説らしさを損なっているのですが、それを踏まえても綺麗な文章だったかと。

 そうですね。カナリアやブリキとも共通するのですが、作品の全体プロットの流れの中で登場人物たちを動かしていて、それが背景設定や伏線に飲まれないで、紙面から自然に伝わってくるんですよ。キャラが非常にイキイキしている

 後は短編なのに「留学生増加」というサブプロットを入れてるところとか。普通ならウナギ絶滅対策だけでも精一杯になりそうなところに、拳一つ分の余裕を作っていて憎いんですよね。

 あと笑える小ネタや演出がてんこ盛りでいて消化不良になってない。全部お話とキャラの魅力として生きているんですよ。おねショタ、人生リターンマッチ、結婚ドラマ、サクセスストーリー、ビジネス劇、外国人コメディ……どれだけ盛り込んでるのかって話です。

 プロットの流れとしては本当に綺麗でしたよね。外国人だからウナギとウサギを間違える……という何でもない小ネタが、本題へとつながっていくという。オチも「ウナギは精力増強効果あるらしいよ」という小ネタを使って、本題からフェードアウトして終了という。

 しかもそのオチでタイトル回収と言う。お見事でした。しかし、オチの段階で二人目出来てたわけですから、ヒロインの外国人奥さんの肉食っぷりで笑わせてもらいました。

 ただまぁ、これだけ完成度が高かったので「萌え」については厳しく見てしまいました。いや十分だとは思うのですが、「この作者ならもっとできるはず!」という気分になってしまいまして。自分が日系ブラジル人というのもあり、身近な外国人が多いから、そう考えちゃったのかもしれません。

 あぁ、なるほど。そう言う視点もありますね。わたしはヒロインのキャラはお腹いっぱい状態だったんです。これだけ萌え要素があれば十分だろうと。国際結婚おねショタって言うだけでもすごいだろうと。

 なにより、不幸の縁からの復活ドラマってのがさり気なく感動的に見えたんです。たんなるお笑いに終わらせない志の高さを感じるいい作品でした。

 これは日系ブラジル人の話なんでポルトガルではないのですが、今は日本の景気が悪いので、ブラジルに帰っちゃう人が多いんですよね。僕の親戚なんかもそうで。だからヒロインやその家族を見て「日本に残る選択をするんだ」と思ったり。作品のクオリティとは全然関係ないんですけど、あれだけ具体性が高いと、読んでる方としても欲が出ちゃうというか笑

 そうかぁ、作品の中身の登場人物の立場に近いファクターを読み手が持っていると、さらに深いところでの描写とかをどうしても期待しますよね。内情を知ってるからこそ、もっと深いところを見せて欲しいみたいな。

 たぶん普通の日本人だったらそんなこと考えないので、別に書かなくても問題ないんですけどね。それ以上に色んな要素を詰め込んでて、全部成立させちゃうわけですから。

ブリキの国




 ブリキのほうはウナギとは対照的に「一点特化」というかなんというか。短編らしい作品ですよね。

 そうですね。単視点一人称をひたすら愚直に貫いたという。言うなればすごい『硬派』な作品だとおもいました。正直、オチは分かっちゃんたんですよ。読み始めに。でも、それがその見えているオチに繋がった瞬間にすごい感じるものがある。

 自分は中盤くらいでぼんやりとオチが読めたんですが、別に期待はずれという気分にはなりませんでしたよね。正直、他の作品だとそういうふうに思ったものがあるのですが。

 オチが見えると言うのは普通マイナス要素なんですが、ブリキに関してはそうじゃないんですよね。むしろ、その見えているラストに向けて動いていく物語そのものを楽しめると言う。これは書き手が物語の世界観を作り上げるのが見事に成功しているのだと思います。

 一人称視点だからこそ、もの悲しさがあると言いますか。オチで予想が確定した時に、主人公について思いを馳せてしまうんですよね。「どうしてこう考えるようになったんだろう」とか「どうしてそういう行動を移してしまうんだろう」とか。

 そう、その主人公が内面で抱いている感情や思いその物から目が離せなくなる。そしてそれが〝老人〟の登場で劇的に流れが代わる。そこでブリキの兵隊と言う言葉の印象と意味が変わり始める。その瞬間が素晴らしかったです。なによりセリフの一つ一つがすごい印象的で。その意味では『感じさせる物語』として成功していたと思います。

 ブリキのほうは二度ほど読み返して納得させました。いまいち理解できなかったので読み返してその意味がわかってから、そういうことなんだなと。あえて人ではなくブリキにすることでその視点から観える景色を映す。

 それで序盤を読み返して「感情を失った仲間」とか「感情を取り戻す方法」で、主人公について考えていたのが、主人公とその仲間たちへと広がっていくという。たぶんもっと広げれば現実問題へと繋げられるでしょうし、こうなると文学なんですよね。

 SFとして捉えがちですが、主人公の〝自我〟にまつわるドラマだとするならば、たしかに文学の域に入っていると思います。ただそれだけにあの雰囲気に入れるか入れないかで、読者を選んでしまうきらいはあると思います。

 実際、この企画だとSF作品が多くなるとみんな思っていて、ブリキも「SFなんだな」と思って読んでいたわけですが、普通のSFとはちょっと違っていて違和感は感じましたね。

 そう言う意味でも、あれは厳密なSFとして捉えるのはもったいない作品です。SFの革をかぶった別な何かかもしれません。

 SFにありがちな、一般人には難しい説明とか、あえて複雑な言い回しとか出てこないですからね。そのおかげかファンタジーっぽさが出てるという。

 逆にSFで無い何かとしての見せ方を徹底したことが良かったのかもしれませんね。

 今ブリキの小説情報を見たら、これ童話ジャンルだったんですね。えー、確かに読みやすさは重視してるけど、子供に分かるかなぁ……。

 童話……、改めて確認するとちょっとびっくりです。ただ確かに物語のロジックや表現のレトリックは、童話かもしれませんね。

 あと、書き手の方は短編へのお話のまとめ方を分かってらっしゃる方だと感じましたね。大きな世界観を無理に詰め込んだのではなく、短編の文章量で入る情報料をしっかりとわかった上で、主人公から見た一人称視点の物語として仕上げている。そのあたりのまとめ方の技術も非常に高いと思います。素晴らしい削皮でした。

 オチにすべてを捧げてますからね。無駄なものをいっさい入れていないですし。まさにセオリー通りで。大抵はどこかしら消化不良になったり、オチが中途半端になってしまったりするのですが。

 正直自分はロボットをテーマに作品を書いてるんで、一番心に響きましたね。作品テーマが『造られた者の自我と心』に有るのはすぐにみえてきたんで、それを曖昧にしないで作中でしっかりと捉えてラストシーンに結実させるポリシーを評価したいと思います。

 書き手にしっかりとした思想がないと落とせませんしねぇ。「こういう問題があるよ」というのは誰でも書けるのですが、「僕はこう答えたよ」までいける人は少ないし、それを説教臭くならないように書くのも至難の業で。  そういった意味では、抽象表現を一番上手く使えてたなと。

身長三センチの人妻




 僕としてはあの作品は、序盤が非常によく出来てるなぁと思っていまして。妻の性格描写がかなり上手いですよね。

 短編だと、キャラクターに関しては「○○はこういう性格で、例えばこの間の休日は~」といった感じで簡単に説明して終わらせることが多いんですよね。そのほうが字数の節約になりますし、短編だと描写の積み重ねが難しいので。  でもあの作品は説明的な部分はほとんどなくて、仕草や会話文で、およそどんな性格か伝えてくれている。これは僕には真似できないなぁと。

 そうですね。正直、妻としては欠点が目立つと言うか、旦那さんがそれに普段から振り回されてる様子が印象的でして……、それが奥さんが3センチになってしまったことで、悲しむよりも、さらに手間がかかることへの嘆きしか出ないという。あれが斬新で印象的でしたね。

 たしかに、旦那さんの細かい言葉選びからも、妻の性格が見て取れますね。なんか面倒臭がってるから「あ、これはコメディなんだな」というのがすぐに分かったり。

 そう! 旦那さんの〝愚痴〟を大々的に利用して、縮む前の奥さんの性格や欠点や可愛らしさを、事細か、かつ分かりやすく伝えてくれるんですよ  あれは小説としてもかなりの高等なテクニックです。やろうとして出来る手法じゃないです。

 だからこそ、読者をこの作品がコメディであると錯誤させることに見事に成功している。作者は相当な策士ですよ(笑) 。だからこそ、中盤での劇的な流れの変化には驚きました。 なんか、あれ? 変だぞ? と思いませんでした? 私はあれっ? とおもいました。

 シリアスな方向に入ったところですよね。あれは僕「あ、終わらせにきたな」と思っちゃいました。物語を綺麗に締めようとしすぎて、欲張っちゃったというか。

 なるほど。そう感じましたか。  私は素直に騙されたというか、旦那さんが自分自身の認識の違和感に気づいて、何か見落としてる事に気づいて焦る始める流れがすごい気に入ってます。

 そこから、奥さんが待っていると気づくところまでの3センチ奥さんの『ちゅーして!』がたまらなく可愛くて(笑) だからこそ、あの作品は、旦那さんだけにしか目がいかないか、奥さんにしか目がいかないか。あるいは二人の立ち位置の変化を交互に読めるかで、読者の感じる印象はかなり変わると思うんですよ。

 あー、僕としては旦那さんのほうに集中しちゃったかもしれませんね。おそらく作者さんとしては、どのキャラクターというか、2人の関係性にスポットを当てているのだろうとは思いましたが。

 身長三センチの妻はタイトルからしてコメディかと思ってましたけれど、二回ほど読み返してそういう意味だと気づくと面白い作品でしたね。

 私は夫視点ばかりに気を取られてましたけれど、後輩のさり気ないあの仕草とか言葉とか普通、意識してできるのかと思いました。もうちょい長かったらまた別の面白みがあったかもしれませんが、まとめ具合うまいですし。

 そうですか。その意味では冒頭部で、読者を作者自身の意図通りの〝視点〟に誘導できていたかどうかは、非常に微妙ですよね  三センチの奥さんが可愛すぎるが故に、そこで奥さんをコメディ担当で終わらせやすいというか。

 たしかに、奥さんのキャラは強すぎる気はしますね。ただそこが魅力なので、良いか悪いかはやはり微妙なのですが。キャラの作りや物語のテーマとかは、乙女向けの技法というか、女性作家的だなぁと思っていて。さっき僕が上げた特長がまさにそれなんですけども。なので男性読者だと読み違える可能性はあると思います。

 そうかぁ。その意味では読む人間を選びますね。そのあたりが点数が伸びきれなかった理由なのかもしれませんね。

 点数下げてたのは僕で申し訳ないんですけども笑。でも全部読んだ段階で、プレーオフ進出は十分可能性あるなと思ってました。キャラクターはもちろん良いと思うし、個人的には物語全体を通してのテーマ部分も気に入っているところでして。

 テーマは「結婚後の男女のすれ違い」だと思うのですが、キャラが強いわりには具体的な不満は提示されないじゃないですか。旦那さんはキスしない(でも愛してる)という時点で、奥さんへの愛情不足がそもそもの原因っぽいと思うんですよね。そういう昼ドラみたいなテーマを「チュー」に美味く置き換えていたのが好きで。

 伏線として一番印象に残っていたのが『奥さんの声』ですね。あれはちょっと意外だったというか、あれがラストへの流れの鍵になったのは面白かったですね。伏線が沢山、貼ってあったと思うのですが、その辺はいかがでしょうか?

 伏線に関しては、結構コメディ部分に騙されてしまいましたねぇ。今見ると序盤でも分かりにくいように、中盤以降の展開の伏線はありましたね。「奥さんいるのに、レンジでチンするご飯を使うんだ?」とか。ここは見落としてました。

 つまりそれが『奥さんが目覚めてない』一人で暮らしてる事への暗喩だったわけですよね。 あとから気づいて読み返すと驚かされますね。

 奥さんに異変が起きても仕事に行っちゃうところも、愛情不足の暗喩に見えますね。作中で「妻が三センチになったからって仕事休めるわけないだろ」と書いてますが、まぁ普通は休みますよね。

 そうですよね。それをオチの奥さんの昏睡が分かってから、仕事を休まずに働いている事を考えると、相当に奥さんに対して鈍感な男なんじゃないかと思ったりしてしまいますね。奥さんはその事に気づいてほしかったでしょうね。だからこそ、チューというシェチューションを何度も求めた。3センチと言うイリュージョンにまでなって。そのあたりの『私の愛情欲求に気づいて欲しい!』と言う切実さも読み取れるような気がします。

 旦那さんのほうも、愛してはいるんですけどね。その辺の心理描写を細かく、直接的に書いていたらやっぱり昼ドラになってたと思います。ぼかすのが上手かったですね。 (そう考えると、文章評価3.5点はちょっと低すぎたかなぁ……)

 まぁ、あの作品は採点は難しかったのは事実ですよ。読み解くといろいろな読み方ができますし、一筋縄ではいかない作品でしたから。

男になってしまった私と可愛い女性部下の攻防




 さて、クロスグリさんとしては、他にはどんな作品が印象に残ってますか?

「男になってしまった私と可愛い女性部下の攻防」ですかね。これはプレーオフ進出するだろうなと思っていたのですが、惜しかったですね。

 あれはワタシ的には惜しい作品でしたね。 作者的に何を言いたいんだろう? って疑問が最後まで拭え無かったです。性転換物なのか性差別提起なのか、娯楽作なのか社会派なのか、性転換物である事を強く推して物語が始まってるんですが、これ性転換を素材にする必要あった? って――。

 魔法世界のような背景があったのに、描写は完全に現代社会と大差なくて、性差別提起としてはよくできてるけど、じゃぁタイトルも含めて総合的に見た時に、考え込んでしまいまして。

 字数が足りなかったパターンでしょうかね。僕は単純な娯楽作品として読んでいて、様々な設定や問題提起はTS百合を引き立てるための道具としか見ていませんでした。

 こういうジャンルになってくると、イチャイチャするシーンしか書かない人が圧倒的に多いのですが、この作品は「はい、こういう世界です。キャラクターはこんなんです。テーマはこんな感じです」と、およそ必要なものは大体出してからイチャイチャしだすんですよね。個人的にはその丁寧さが気に入ってて。でも消化不良にはなっちゃいましたね。

 字数が足りない――、そうかもしれませんね。いわゆる短編の枠のサイズにまとめきれないと言うか――。自分はSF書きなのですが、特定ジャンルとしての前提を、ジャンル以外の読者の人にも分かりやすく説明しようとするとどうしても字数や前置きが大きくなりますね。そこからお話の本筋に入らないと行けないからなおさら文字数がかさばる。

 それを上手く削ぎ落としてコンパクトに纏める技量が必要なのですが、そこをもっと推敲を重ねても良かったのかもしれません。

 この作者さんは第2回の企画でもそんな感じで。掲載日を見る限り、今回もこの企画のために急いで書き上げたのだと思います。たぶん長編向けの方なんでしょうね。

 そう考えるともうちょっと頑張ってほしかったなと思います。 短編と長編は根本的に作り方が異なるので、短編はいかにコンパクトに纏めて不必要なものを削ぎ落とすか? それでいて中身の詰まったものとして完成させる必要があると思っています。

 長編慣れしてるとあれもこれもと入れたくなりますが、そのあたりの感覚の短編との違いをしっかりと身につけられればもっと伸びる作家さんだと思いますね。

 今回は「長編で書けばいいのに」というような作品は多かったですよね。そういう作品は「これが実際に長編だったら面白そうかな?」という視点で読んでいましたが、この作品は個人的に、特に楽しめそうだなと。

祭りの夜




 美風さんは他にどの作品が気になりましたか?

 私は一番印象に残ったのはやっぱり『祭りの夜』でしたね。個人的には一番、プレーオフ進出してほしかった。短編としてのまとまりの良さと言うのもありましたが、登場人物である人間と妖かしの親子の離れ離れになっていても、互いを思いやり、そしてそれがこの幸せになる。と言う人間ドラマ劇としての落とし込み方がたまらなく感動したんですよね。

 父と娘が永遠に離れて暮らしていても、それが悲劇とならないと言うラストシーン。こう言うドラマ的にキャラがしっかりしている作品はすきですね。ただそれだけに童話的な物語の構成を、物足りなく思う読者はいるでしょうとは思いましたが。

 世界観の組み立て方は結構上手いと思いましたね。ただ、説明的な文章が続きすぎていたのが個人的に気になってしまいまいまして。そこが少なければより雰囲気がよくなっただろうなぁと、ちょっと惜しく感じました。

 SFやファンタジーではよくある問題ですが、説明をしっかりしようとするとお話の本筋がおろそかになりやすい。逆に必要な情報を分かりやすくシンプルに伝えないと読者に飽きられるし、物語を楽しみたい読者からは敬遠されますよね。

 非常に難しい問題ですが、バランスの取れたベストな状態と言うのはたぶん無いと思ってます。やはり読む人のセンスや嗜好にも左右されますから。

 自分はSFを書くのですが、説明がくどいと言う人も居れば、逆に説明が足りないと起こる人も居ます。ほんとに多種多様です。最優選考に残った作品を見ていると、その辺んの説明と会話とお話の本筋のバランスのとり方が非常に絶妙な作品が多かったと思います。

 たしかに難しいところではありますよね。僕なんかはその匙加減は好き嫌いが激しいので、ついきつく評価してしまいます。

 でもそれは仕方ないというより普通の反応だと思います。ジャンルとして固有の嗜好の説明の深さ多さが、ジャンル外の読者の人達にも通用するとはかぎりません。

 私も自作品の傾向上、SFやファンタジーのレビューを依頼されるのですが、やはりジャンル外の人にも普遍的に読んでもらえる普遍さを持ちつつ、そのジャンルが好きな人も満足させられる適度な深さを持ち合わせている作品はなかなか出会えません。

 大抵は専門的な読者向けで諦めてる作者が大半です。でもそれをクリアしないと、より多くの読者に読んでもらう事はできないと思います。コレばかりは作家として執筆経験をつんで、一番いいバランスを自分自身でみつけるしかないのではと痛感しています。難しいです、小説を書くのって。ほんとそう思います。

最後に


 今回はプレーオフ進出作品と、審査員が注目した作品について座談会を開きました。Victorさんは本人の都合上、あまり参加できませんでした。

 ナロラボ杯での審査員は2回目ですが、今回は評価・コメントのつけ方に悩みました。一部の方々に対して、必要以上に厳しい評価をしてしまったり、後悔している部分もありました。座談会はそういったことにも気づけたりするので、審査員としても面白く、ためになります。

 審査員制にすると、どうしてもレビュアーの好みが出てきます。他の人からすると「この作品に対して、この評価は不当だろう」と思うことが多々あるかと思います。個人的にはそこが魅力だと思っていて、レビューの精度を上げすぎると運要素が少なすぎてイベントとしては面白味に欠けてしまいます。正確さが最重要であれば「それはAIに判断してもらえ」という話になりますし。

 しかし、審査員の評価・コメントによって損をしたり、過度なダメージを受けてしまう人がいるのも事実です。システムの善悪については「一長一短でしょ」としか言いようがありませんが、そういった方々をできるだけ減らすように考えていくのは、僕ら審査員の仕事であると思います。

 結局のところは「審査員も人間だから、好き嫌いはあるし、個人の思想があるし、たまにエラーする」ということを皆さんにご理解いただき、温かい目で見守ってもらう他に方法はなかったりします。僕らレビュアーも勉強に励んでいる側の人間です。自分なりの正しさを追究し、人々の糧となるよう尽力しておりますので、これからも応援よろしくお願いします。


 短編レビュー企画(ナロラボ杯)の座談会です。参加作品のweb小説を褒めたり、解説したり、詳しく批評したりしています。

短編小説レビュー企画の裏側


 ナロラボの調査結果×KaKuKaKu合同企画「第二回 評価シート付き小説レビュー企画」を終えて、参加作品についての座談会をしました。その時の会話を作品別に掲載しています。

 会話内容はブログ記事として読みやすいように編集してあります。

今回の審査員はこちら。

なろうラボ
 第一回 評価シート付小説レビュー企画開催者兼レビュアー。普段はWeb小説投稿に役立つ情報を集めるアンケートなどをおこなっています。第一回の企画で40作品の評価経験があります。好きな短編小説は乙一「ZOO」です。あと、野崎まど「野崎まど劇場」も好きです。



クロスグリ
 ライトノベルを愛する書き手兼レビュアー。他人の文章にはうるさく、一癖ある作品が好み。短編作品においては無駄の少なさとオチを重視いたします。好きな短編小説は、時雨沢恵一「キノの旅」  web小説やライター活動の専門サイトを運営中。主にハウツー記事を掲載しています。依頼制の作品レビューもしているので、気になった方は下記のリンクからご連絡ください。


 とびらの
 通りすがりのなろう作家。一時期コメディジャンルランキングを占拠した「下ネタ短編企画」や「TSゴールデン企画」、この秋には「清純ギャグ短編企画」を主催している企画主。その正体は、濫読性万年活字中毒の重篤患者。


ひょろ
小説家になろう読み専ユーザー。2017年4月9日からお気に入り小説の紹介をエッセイにした「読み専が紹介する『なろうお気に入り作品』」をスタートし、現在までほぼ毎日更新で150本以上のWEB小説を紹介してきた。エッセイは現在レビューを受けた数が19本を超える小説家になろう屈指の人気エッセイとなっている。


ナロラボ賞:星空めろりんきゅう!




 めろりんきゅう、たぶんこれSつけたらあかんやつ……て思いながらもつけちゃった(笑)。意外と減点箇所もなかったし?

 分かります。あれがたまたま書いたレベルじゃなくって、常時出せるなら相当上手い人ですよ。絶対。


 あの作品になーんか変なものを感じてるのって、僕だけじゃなかったんですかね。未だに正体は分からないのですが。いや、普通におもしろいしセオリーで考えても良いほうなんですけどねぇ……。


 構成的に「何かが宿って勢いでバババーっと書いた」ようにも見えるから分からないんですけど、すげぇ細かくないですか?

>「はじめて彼氏ができた」
 →キャラクター二人、彼氏もち、主人公がうぶ。これが全部出る
>私には一生できるはずないと思っていたのに。
 →主人公のキャラクターをよりダメ押し
>とっても格好よくて優しい彼。けど、とっても恥ずかしい事を言ったり、やったりするのが困りものだった。
 →これで彼氏が何かトラブルメイカー

 もう絶対やばいですよ。一文あたりの役割がすごいんですよめろりんきゅうは。

 レビューにも書いたけど、解剖してみるとすごくキレイな起承転結の雛形を踏んだ、よくできた短編ですよ。あれは勢いで引っ張ってるんじゃなく、秀作がすごい勢いで飛んでいっちゃって「ちょっと待って。よく見えないからじっとしろ」てな作品です。

 ああやっぱりそう思いますか。よく考えられた作品なんだけど「何かが宿っちゃった」ってことですよね。

 文章と構成は良いですよね。
 ただ自分はめろりんきゅうのターミネーターという表現に関しては「人によっては分かりづらいし、実在する作品名を出すのはいかがなものか」と思いました。web小説なんだし、そこまで固く考える必要もないのでしょうが……。比喩にしても、今時のキッズはターミネーターを知らなそう。

 ターミネーターは僕が映画好きだから分かりやすいですけど、たしかに、それはあるかもしれないですね。

 ターミネーターくらいは知ってるんじゃない? 映画はみてなくても、「ロボットだよね」ってくらいは。めろりんきゅうのほうが絶対元ネタ知られてないでしょwww まあ「小説として」他社作品キャラクターの名前を出し「○○みたい」というのはどうかな、とは思います。ギャグ短編で減点することはなかったけど。

 ギャグだと普通に名前出しちゃいますしね。ライトノベルだと特に。僕はパロディメインだと思って読んでなかったので、気にしちゃったんでしょうね。

 ターミネーターの件普通にスルーしてました(笑)

 あーそっか、わたしまずタイトルに「めろりんきゅう」があって、コアなパロディギャグだ、って認識が最初にあったので、あとは何が来てもプラス演出としか思わなかったんですね。「心の音」でターミネーターが出てきたらバッサリ減点してましたよ(笑)

 調べたんですけど、全然知らない情報が出てきました。めろりんQ……。

 これは世代差出てきますねぇ……。自分も知らなかった。

 わたしも世代じゃないですよww あまりにコアすぎるので、あれはそれを知ってる人向けにパロディとして描かれたわけじゃないと思いますよ。

 普通に「あー、めろりんきゅうって未来での流行語なんだな。そういう伏線か」と思ってしまいました。

 クロスグリさんそんだけ考えて読んでたのか(笑)。逆にめろりんきゅう18.5って加点要素なかったんですか? 評価軸難しいっす!

KaKuKaKu賞:愛する貴女へ〜君と花火と神様がくれた時間〜




「愛する貴方へ~」の、キーワード&アイテムの回収力はすごいと思いましたね。出したものを全部使いきってる。こういう構成は好きです(笑)。花火でプロポーズ&お答えを事前に仕込んでた、という演出も、今企画で唯一「そうきたか!」と膝を打ったところでした。

 花火評判良いですよね。僕もすごい好きです。

KaKuKaKu賞:雨中、待ち人来たり




 僕実は、この作品のすごさイマイチ分かってないんですよね。途中まではめちゃくちゃ面白いんですけど、あれ他にすごいと思うところありますか? というか「前世からの因縁だった」が分かるシーンってどっかに伏線とかあるんですか?

 鳴田るなさんのはなんというか、文体が色々と支えていると思うんですよね。「いかにも小説! 心理描写満載!」とはちょっと違ってて、体験記に近い語り方なんです。それがリアリティを生んでいて、全ての項目を底上げしていると思ってます。

 小説くさくない世界観が終始構築されてるってことか。なるほど。それを生み出す文章力はたしかにすごいかもしれない。そうやって評価するとたしかにもうちょっと点数上げられたかもしれないっす。未熟でした。

 たしかに一人称会話ほとんどなし、主人公の思考垂れ流しみたいな人を選びそうな書き方なのに、それが全く感じなかったです。センス、じゃなくて「小説っぽく書かない」演出なのか。作りこまれてるのか。小説っぽくかかない、というと表現ややマッチしないですけどなんとなく分かります。

>雨脚は夜にかけてますます強くなっていく。折りたたみでは追いつかず、途中で和傘を買った。それでも足下が冷えるのは避けられない。

 こことか、小説として考えれば別にいらない文章なんですよね。なんの描写にもかかっていないし、ドラマ的に考えるのであれば傘を買うくだりは蛇足。ただ、こういう一文が随所に組み込まれているから、なんか本当の話っぽく見えるんですよね。

 こういうどうでもいい部分を具体的に話すのって、ウソを信じ込ませる時のテクニックなんですよ。ウソをつくのが下手な人は、必要な情報しか言わないんです。

 たしかにあの文章なくても成立しますね。けど余計な一文だと感じにくいです。

 ラボさんでしたっけ? 「前世の恋人の幽霊が出てくる、というのが唐突に感じた」っていうコメントを書いたのは。あれ、私はむしろ「布石多すぎてバレバレだよるなさん~w」って思ってたんです。どういうことかというと、あの作品って隠喩や暗喩、フラグ立てのカタマリなんですよ。

 マジですか! 伏線どこだろう? お坊さんのとこかなぁ? って思ってましたけど分からなかったです!

「伏線」は僧侶が「縁がある」うんぬん語るところくらいのもんですが、印象操作というか、雰囲気でもっていってるんです。たとえば雨。これは晴れと比べれば「悲しい、陰鬱、不吉」という印象を与えますよね。嵐。これは「事故、死、大きな災い」の隠喩としてテッパンです。

「雨」というのは平安物だと「会いたいけど会えない」の暗喩だったりするんですよね。たしか「雨が強いと馬を出せない」から、そういうイメージになったんだとか。
(大学時代、和泉式部日記の講義で教授が話したことをコピペ)

 それに対して、出かけたい、向かいたいという期待を持つ主人公。そこにきて「精神科医」「先生」「学者」などではなく「僧侶」が「縁が……」と来たらもう、事故死した誰かに会える、という布石以外のなにものでもない。

 あと、クロスグリさんが言った「傘が壊れた、新しく買ったが足元が濡れた」などのやはり「うまくいかない展開」……この文章自体はいわれたとおり、リアリティを出すためにつけられた日常的描写だと思うんですが、それで文字数を使いながらも、同時に物語そのものを暗示してる。雰囲気を壊してないんですよね。しかも、それでいて読みやすい。すっげーーー技術です。当人が意識して使っているかはともかく(笑)

 ただあそこ、ドラマチックにするんだったら「傘は壊れたけど、ずぶ濡れになりながら無我夢中で歩き続けた」のほうが無難ですよね。わざわざ買いに行くところが体験記っぽい。

 天気とか色とか風景で、その道の先になにがあるか……を読者に予感させる、という演出は、文学に限らず映像などの世界でも極めて一般的です。それでいうと、るなさんは直接的・親切すぎるくらいですね。言葉や単語も文学としては色気がない。これはラノベに傾くなろう読者に読ませるには大正解だったとは思いますが。

 わたしがSを付けられなかったのはその辺のところで、レビューにも書きましたがちと練り不足というか、ライト文芸と文学、どっちつかずになってるなあと。もうちょっと演出で、クサく、ドラマチックにできたと思うんですよ。惜しいぃぃーって気持ちがなおのこと減点に傾いちゃったw

 私も感想に書きましたけどできれば主人公が死んだ理由も軽く触れてほしかったです。・゜・(ノД`)・゜・。
 一応会話をみて流れはわかるんですけどもやっとしちゃいました(; ̄ェ ̄)

とびらの賞:くじ運の悪い騎士は敵国の王女を賜る




 好み分かれるタイプではありますけどまぁ間違いなく、くじ運のすず先生はこのクオリティ続けてれば書籍化するだろうなぁ……。

 わたしの個人賞に推した作品ですが、「くじ運の悪い騎士」は、すごかったですね。あの内容をあの文字数で、よく終わらせたなwww

 くじ運! あれなきましたよマジで! すず先生前回(※)もすごかったんですよ! あの人、あれをこの企画に出すために三日で書き上げたんだから本当にすごい。マジであの人が書籍化作家になる前から知れたのホントに宝ですね。

※すず(Sn)さんは、第一回の短編レビュー企画にも参加していました。

 くじ運に関してはバトルシーンがちょっと残念で、どうにかならんものかなぁと思いつつ「このプロットを崩すとなると、相当大変だな」というのも事実で。というか3日であれって化物ですね。

 そう、どうしても「見たいシーン」が不足してるんですよ。騎士の結婚事情ふくめ世界観説明も足りない。バトルや、新婚生活のラブラブやデート風景を描いて二人の愛情と絆も見たいでしょ。じゃあどこ削るってどこも削れねーよ! 文字数増やすしかないww

 あの人しかも、別にキャラを書くのは下手じゃないですからね。本人は「物語は完結している」って言ってますけど、教会から救い出した後の話がんがん読みたいです。

 あれもまた長編向けのテーマですよね。「何かしらの問題によって結ばれた2人が、一時の別れを経験して、再度結ばれる」……これって恋愛映画の鉄板ネタですよ。文庫本一冊分の文章量は欲しいですよ。

 第一回も勘違い系結婚ものですよ。たぶんアレ得意なんですよ。

準ひょろ賞:毒バラの魔女と王国騎士に纏わるエトセトラ




 肌さんの作品は、さすが書籍化作家っ!! てかんじでしたね。構成、キャラクター作り、演出、文章リズム。コミカルさとシリアス部分に温度差を出しつつ、その流れに違和感がないという。あー、上手いなあと唸りながら読んでました。

 肌先生はすごかったですねぇ。キャラを見せるためだけに文章作られてて、「ああこれが書籍化作家!」って同じ感想になってしまう。

 恋愛モノとしてはあまりにテッパンすぎるというか、どうせコレ誤解で、こうなるんだろうな、っていう想像どおりに終わっちゃったのは残念でした。ヒロインの顔面崩壊がガチっていう、珍しいトゲを持ってきてくれたので、ラストもひとひねり欲しかったのが正直なところ。よく出来てるなーとは思いつつ共感はできなかったのでSはつけられなかった。

準ひょろ賞:純喫茶・蔵々 ~魔法とコーヒーのお店~




 レビューでボロクソ言ってるんですがw、「純喫茶~」もとても好きです。マスターの語り口は粋の極みですね。だからこそ「ほんとに魔法使い」というオチはすごいガッカリだったんですけど――長すぎるし――それでも、ラストのラスト、「次のお客様は」と読者を引きずり込むセリフは何度よんでもシビれるほど素敵。

 喫茶店は僕の感想ととびらのさんの感想が一致してたので「あ、これ僕いい線つけてるな」って思いました。

「めろりんきゅう」もそうだけど、作中のセリフが頭にはりついてしばらく離れない、って、それだけで名作だと思うんですよね。そこだけ抜粋するとどうということないセリフだったりするんだけど、そこは演出とか構成とか。

柚希ちゃんは男の娘




 和久井先生の作品も、キャラの演出が上手かったですね。
 これ結構悩んでるんですけど、僕世界観が「メール使ってるのに以降00年代っぽい表現が全くないので、世界観に力入れてない」ってコメントしたんですけどズレてるかなぁって。

 自分で書いていて「これはキャラクター=世界観」だからちょっと違うよなって思ってました。キャラをかわいく書くことに注力してるからあれは世界観加点できるかなぁと。「お決まりの道具をお手本どおりに上手に使ってる」からもっと世界観点数加点したかったなぁと。

 わたしはズレてる……というか、そこはどうでもいいと思ってました。ガラケーもスマホもアイフォンも全部含めて「携帯電話」、メッセージ系はすべてメールと書くので。なんというか、LINEやカカオなんかは固有名詞・商品名って感覚なので、小説に出すのはどうかなって……。それこそ年代かしら(笑)

 普通に今でもメール使ってますしね。なのでアレは00年代の世界を描写できていないんじゃなく、作者さんがそういう使い方を実際してるのをそのまま書いたんじゃないかなw まあ「十代の少年少女のラブコメ」としては手落ちですね。

そしてわたしは、愛しい貴方に殺される




 つらいのはしきみ先生にS出せないことなんですよねぇ……これまで参加した三作品すっごい上手なんですけどねー。短編上手なんでいつかS出すことは分かってるんですけど、出さなくなってしまったら悲しい。

 しきみさん……。あの超ドロッとした恋愛書いたお人ですか((((;゚Д゚)))))))
 あの人絶対アムネシアとか好きだよなあとか思いつつ読んでましたわ (笑)

 はい。しきみ先生に関しては今回は僕が点数下げてるんですけど(笑)明らかに上手いんですけどね。

 文章が一番綺麗かなあと感じたのはしきみさんの作品なんですよねー! ただの印象ですし内容の影響も受けてそうですけど一番綺麗だと思いました(笑)

 しきみさんは本当に文章上手いですよ! 王国双剣物語(※)とかホントに上手だった!
 さすが書籍化作家だなぁって感じですよ! いつかあの人がS出すと僕も思ってます!

※しきみ彰さんが、第一回の短編レビュー企画に提出した作品です。

 Aは普通に取ってもおかしくない作家さんですよね(((o(*゚▽゚*)o)))

心の音は




 進士夜紳士さんの文章はセンスというより、努力型の最高峰だと思います。中身に対して文量が多かったですが。

 心の音は、文章自体はかなり良いですよね。自分が数年前に書いてたのと似てて親近感湧くってのもありますが。ただ、言っちゃうと構成が、初心者脚本あるあるの典型みたいな感じなんです。

 あれあと3千字~5千字減らせますよね。オチも弱い。ただ描写力、これだけはずば抜けてた。それでも綺麗にまとまってるから、Web小説の中で見たらすごいんですけど。

 いやぁ、あのタイプはむしろオチないほうが良かったと思います。半端にセオリー意識してる感じで……それならセオリーを全部捨てたほうが、まだマニアには刺さったと思います。

 ああー。オチない方が、というかぼかす方がいいですよね。ただそれ、要求するレベルが高すぎて作品が崩れてしまう恐れがありますよね。

 日本やアメリカだと、いわゆる「行って帰ってくる」タイプが主流で……一般的には「帰ってくる」のがオチになるんですよね。日常から非日常へ行って、問題解決をして日常へ戻ると。この作品に関してもそういう要素は薄く入れてますよね。

 薄く入れるくらいなら主流から外れて「行ったまま帰ってこない」タイプの物語にしても良かったんじゃないかと思います。ペースメーカーをつけて、不便な人生を一生背負うことになりました……って終わり方で。

 命の長さは15センチとかすっげえ面白そうなのに、上手く話を閉じようとしすぎて恋愛要素を無理やり入れた感。

 あれ確かカクヨムのコンテストなんですよ。「15cm」という題材で恋愛物を書けっていう。自分も何か書こうと思ったんですが、陳腐なアイデアしか出なくてやめましたw

 あー。それで「良いキャッチコピー思いついた!」から上手く話を作りこみきれなかったんですね。結果凡庸になっちゃった、みたいな。

 カクヨムコンテストのほうでは、刃渡り15cmとか、男性器平均15cmとか、ぱっと見そういう作品多かったので、ペースメーカーってところまでは良かったんですがね。

「心の音は」は文章力あるけど、それを補って余りあるほどに、長すぎる(笑)。わかったから、しつこーい!ってなるし、無駄なエピソードが多い割にはオチは平凡で、それでいて唐突。もうちょっとなんとかなったよなあ、と思います。

 僕は心の音は「描写減らして、文量2/3くらいにして『もっと読みたい!』ぐらいで終わらせる」のが一番いいんじゃないかなぁと思ってます。

 心の音、題材とプロットは最高クラスですよね。ほんと、無駄なものくっつけすぎ&欲しいものがちょっと足りない、すごいもったいない作品でした。

TS娘が親友♀をその気にさせて遊んでいたら、美味しく頂かれたお話




 その対極のようなラブコメとして ある意味、tottoさんのTS娘のエロマンガモドキも完璧な良作だと思うんです。レビューに書いた通り今企画の主旨とズレすぎて、どうにも評価できなかったけど。 キャラの可愛さと「すきすきあいしてるえっちなことしたいー!」って心情描写だけであの文字数ですからねww いやほんと、ぶっちゃけ、書籍化するならああいうのが書けるひとなんだろうなーとか。

 tottoさんは間違いなく、力あるけどわざとこうなってるんだろうな感ありました。

 自分自身はTSロリ娘の百合ってヒトカケラも属性にないもんで、まったくピクリとも来ませんでしたけど……プロを目指すなら、こういうのが書けなきゃだめなんだろうなって感銘を受けました。素直に、見習おうって思いましたね。

 あれはもうちょっと丁寧に作って欲しかったですねぇ。TS物も百合も好きな方だけども、僕はシチュエーションに入るまでの段階がちゃんとしてないと乗れない人間なので。

「どうやってその子を落としたんだ!? 百合だから!? 違うだろ! この百合はそういう百合じゃないだろ! 友達をレズに導いたところから書くんだ!」という気持ちでした。

でも短編でキャラを立たせるという話であれば、TSはすごく分かりやすかったと思います。

最後に


 他にも高評価を獲得した作品について語りたかったですし、まだまだ掘り下げられていない作品もありますが、今回の座談会はここまでとさせていただきます。作品によってトークの長さが違ったり、語っていない作品があるのは、本来公開することのない内容だったからです。

 しかし、こういった話はどこかに保存しておきたいし、他の参加者を中心に楽しんでくれるかもしれないと思い、急遽世に出すレベルにまで編集しました。もしこの記事が好評であれば、今後はもっとクオリティを上げた形で提供するかもしれません。

 また座談会記事を書く時は、話す内容や長さについて決めておきたいと、個人的には思っています。

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